MMCCの概要とあゆみ History and Outlines

 MMCC(Mobile Mini Circus for Children:子どもたちのための移動ミニサーカス)は、2002年にアフガニスタンで設立された非営利の国際NGOです。アフガニスタンの子どもひとりひとりがもつ個性や才能、あらゆる可能性を引き出すことと。おもしろおかしいパフォーマンスを通じ、アフガニスタン全土の子ども達に知識や教育を届けています。
 MMCCの移動サーカスチームは8人のアフガニスタン人アーティストで構成され、この4年間で地方の村々の学校や孤児院、病院やストリートチルドレンの教育施設などを含むアフガニスタン全土の50万人を超える人々に公演活動やワークショップを届けてきました。このアーティストたちは、カブールで行われたオーディションを勝ち抜いた高度な技術を持ち、小道具や動物の衣装、人形劇、可動式ステージ、音響機材、民族楽器を持って移動します。そして彼らは演劇やサーカス公演で経験を重ね、自分達なりのテーマ、「子どもの人権」「平和教育」「復興開発」「健康衛生」「地雷啓発」「社会教育」などを伝統的かつ教育的なパフォーマンスの中に取り込んでいったのです。

 MMCCカルチャーセンター MMCC Culture House

 2003年11月からカブール市内に10歳前後の子どもたちのためのカルチャーセンターを開設しました。壁は白く塗られ子ども達が絵を描いています。小さな紙ではなく大きな壁に絵を描くには、協力し合うことと想像力を広げることを自然と育てていきます。広い中庭では子ども達が自由に遊び回り、スタッフも一緒に遊びます。棒でたたいたりどなったりする大人はいません。15の教室を持ち、歌や絵画、サーカス、演劇、アクロバット、格闘技。英語、コーラン、手芸、工芸、文学などのクラスがあります。自由な空間は子ども達の創造性を高め、将来の可能性を広げていきます。なかには5歳くらいの子どもたちのクラスもあります。当初彼らのためのクラスはなく、授業中は中庭で演劇や歌、アクロバットのまねごとをしていました。そして演目ができあがると授業中の教室に入ってきてはそれを披露するのです。そしてスタッフは彼らのためのクラスを作りました。小さな子ども達が自分たちの力で教室を勝ち取ったことは、MMCCスタッフにとっても誇らしいことでした。子ども達はここで培った技術をもってカブール市内の学校や孤児院、病院などに出かけていき、公演活動を行い、自分たち以外の子ども達にも大きな夢を届け続けています。2005年にはドイツとデンマークで公演を行いました。2006年夏には日本での公演が計画されています。子ども達の技術の高さが海外公演を実現させました。「自分にできることはたくさんある。」この子ども達は間違いなく将来のアフガニスタンを担っていきます。

 ティーチャートレーニング Teacher Training

 MMCCがもつもう一つの特徴として、アフガニスタン人の教師達へのトレーニングがあります。教師といっても専門的な技術を持っているわけではなく、教科書をただ読んでいるだけの先生があまりにも多いのです。中には「He is a women.」と書いてある教科書もあり、それをただ読むだけなのです。たたいたり、罵ったりすることも多く、権利意識はとても低いのが現実です。いかに子ども達の関心を引きつけるか、授業を楽しくわかりやすく伝えるか。教材をどうやって作ったらいいのか。そのすべてがMMCCのプログラムには自然と備わっているのです。現在MMCCのスタッフは子ども達への公演活動の傍ら、地方の教育委員会などでのトレーニング活動も行っています。

 支援・財政 Support and finance

 MMCCは、以下の3つの収入によって成り立っています。
1.スタッフトレーニングや能力開発といった特定のプロジェクトや活動に対する寄付金や基金。子どもたちの食事や施設の維持にかかる費用などに使われます。
2.教育省や学校経営をしているNGOなどからの、教員訓練・啓発公演・ワークショップ等の委託収入。
3.15カ国からのプライベートな寄付金や団体からの寄付金。

演劇による教育プログラム Education program by Theater:手を洗うことの大切さを伝える衛生教育。大きな汚れた手が登場して、次々と人々を襲っていく。しかし、「石けんを使ってきれいに手を洗えば、ほぅらこの通り!もう大丈夫!安心してご飯が食べられるね。」アフガニスタンの辺境地域では、おなかを壊してしまうことは命取りになる。薬もなければ病院もない。地域によっては1年の内、半年以上は雪に閉ざされ、移動ができない村もある。おなかを壊してしまったら、栄養状態も悪く、抵抗力のない子どもたちは、すぐに命を落とすことになる。「手を洗おう!」これは、本当に大切なことだ。写真:アフガニスタン北部バダクシャン州ケシャンにて
ワークショップ Workshop:実際に子どもたちに人形劇を体験してもらう。人形を作る子、セリフの練習をする子、シナリオを書く子、舞台となる大きな布に絵を描く子、それぞれが、それぞれの役割を果たし、ひとつの大きなことをやり遂げる達成感と、助け合ってひとつのことを作り上げる発送を、子どもの頃から身につけてもらうことを目的としている。部族同士で争ってきた歴史を持つ国で、手を取り合うことの大切さを子どもの頃から教えることはとても重要だ。
MMCCCのパフォーマンスは、ほとんどの地域の子どもたち、いや、大人たちにとっても、生まれて初めて見るサーカス。生の楽器による演奏や、演劇、その他のパフォーマンスは、村中の人々が押しかける中で上演される。まるでお祭りのよう。いったいどこから集まってきたのかと思うほど、たくさんの人々が集まってくる。そして、木や、建物の屋根に上ってまでサーカスを見ている。